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結婚までの徒然日記

幸せのゴール

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傾聴ボランティア薫風苑編(31)棟梁への返事

10月18日
最初の話し相手はKさん。79歳男性。岩槻に奥さんと2人で住んでいる。出身は白岡市である。身の回りのことは自分でできるようだ。穏やかな表情で白岡や岩槻の話をしてくれた。田植えや稲刈りの話。東武野田線が2両編成だった話。車で東新井まで通勤した話。Kさんは家族のことも話し始めた。彼のお兄さんはU高からW大を出て東海村の原研に勤めた。原研第1期生だという。「村から初めてU高に入ったんだ」と自分のことのように誇らしげに話す。今は山梨に別荘を建てて農業をやりながら悠々と暮らしていると言う。Kさんはきっと円満な家族の中で生活しているのだろう。話しているとこちらもほのぼのとして来る。

20分ほど話すと、顔なじみになった村田さんが、ホール内を杖をつきながら歩き回っているのが見えた。そこで「ありがとうございました」とKさんに挨拶して、村田さんと対話することにした。

話題は時事問題である。この話ができるのは薫風苑では彼しか居ないだろう。
「小泉は息子の足を引っ張っちゃあいけないよ」と元首相の原発ゼロ発言について語った。
「小泉の息子は多分首相になるよ」と高く評価した。
こういう話は絶対に反論は禁物である。「なるほど」と言いながら私はうなづく。
更に彼は「こんなことを言うと皆頭が可笑しいと思うかもしれないし、あなたは“左”だから反対だろうが」と前置きをして放射性廃棄物の保存について語った。
「今は左も右もないですよ」と私は言った。彼は私の言葉ににやりと笑い、話を続けた。
「埼玉県の地下深くに廃棄物の貯蔵庫を作る。そして政府から金をたっぷり取るんだ。」なるほど、これは大胆だ。かれは根っからのリアリストなのだろう。一直線に自分の意見を語るのでなく、反論を予想しながら語っている。これが村田さんのすごいところだ。

棟梁が車椅子で来た。村田さんは「(棟梁は)耳が遠いから大きな声で」と私に注意した。この辺の気配りも村田さんのすごい所だ。

私は棟梁が以前語っていた宮大工の小川三夫さんについてのネット記事のコピーを棟梁に差し出した。これが本日の大きな目的だったのだ。そのコピーには小川さんが弟子の前で「槍ガンナ」をかけている大きな写真が載っていた。棟梁は小川さんの顔は知らないようだった。きっと大工仲間では小川さんの名前だけが轟いているのだろう。棟梁はとても興味をもったようで、再び小川さんの宮大工入門のエピソードを語った。そして、写真を見て、「これ(槍ガンナ)が無くてもできるんだけどなあ」と言った。今のカンナ(台カンナ)でもできるということか?するとこれは名人のパフォーマンスか?さすが棟梁、言うことが違う。
フォト

法隆寺建設にも用いられた槍カンナ。
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